時載りリンネ! 1 (清野静/角川スニーカー文庫)
冒頭数十ページ読んだあたりで、「ハルヒみたいなセカイ系+読子さんor文学少女な遠子先輩の話かー」とか、ちょっとやな気持ちになってたんですが、私が間違っておりました。
ジュブナイル小説と呼ぶにふさわしい素晴らしい冒険小説ですよ。
これが「奨励賞」なんだから、スニーカー文庫はやっぱ奥が深い……
ストーリーやキャラクターの魅力もさることながら、文章の体裁がとても作品の雰囲気にマッチしている。ラノベの作家ってその辺が微妙な場合があるのだけど、この作品は読んでいて雰囲気に浸れるというのがとてもよろしい。
「大賞応募作」にありがちな続刊問題だけど、この話はあらかじめ予定していたのか、それとも改稿がうまくいったのか、この先もストーリーが続けられそうなのも好印象。
みずたまぱにっく。 2―This is MIZUTAMASHIRO!! (ハセガワケイスケ/電撃文庫)
んー、こんな感じで一人ずつピックアップしていくのかな。
この作者の代表作の「しにがみのバラッド。」は読んでないけど、やっぱこんな感じなのかな?
アスラクライン 8 (三雲岳斗/電撃文庫)
前巻の衝撃も覚めやらぬまま……覚めやらぬまま……海辺のリゾートですかそうですか。
でも、加賀篝が意外とあっさり退場したり、さらに謎の人物登場したりとストーリーは着々と進んでますね。トモハルの兄がキーマンだということは1巻から書かれていたのですが、どうもこの話の人間関係はそのあたりを中心に相当入れ組んでるようで。ただ、肝心なところがなかなか出てこないのでもどかしいです。
嵩月もそうだし、操緒もそうだけど。彼女らが事実を知りながらも懸命に戦っているってのは、切ないですよ。
AKUMAで少女 (わかつきひかる/HJ文庫)
見事にお約束な男女入れ替えもの。
高レベルにこっ恥ずかしくまとまっていて非常に良いです。
いちゃいちゃしているところを親に見つかるという話、類似作品でもなさそうでありそうな話ですが、私の趣味はこっち(見つかってしまう)のほうかな。話の持っていき方とサービスシーンの入れ方の趣味が合っているのでお気に入り度高いですよ。
魔法使いとランデヴー ロケットガール4 (野尻抱介/富士見ファンタジア文庫)
※例によって読んでから感想書くまでに相当経過しています。
超久々に帰ってきたロケットガールズ。(スカイガールズではありません)
普通の作品ならアニメ化にあわせて新刊出すところだけど、それにあわせなかった(あわせられなかった)のがなんとも。きっと間に合わなかったんだろう(苦笑)
短編のほうはドラゴンマガジンで読んだ覚えがある。
日常的な間隔だと「宇宙ステーションから放り投げられる」というのは、二度と帰ってこれない絶望的な状況なんだけど、静止軌道上のステーションからであれば、実は絶対速度的にはたいした問題ではない、というネタ。
もちろん十分に高速な(=第2宇宙速度以上で)放り投げられれば帰ってくることは出来なくなるんだけど。
言われてみれば納得の話なんだけど、言われないと気づかない不思議。
物語としては小ネタだけど、SF初心者にとっては面白い話しだねぇ。
あと、国際宇宙ステーションの行く末についても面白いアイデアだと思う。
すちゃらかな自衛隊がえらい気に入った。
これは絶対取り上げられるだろうと思った「はやぶさ」ネタ。
もう少しタイムリーに登場していれば……
この話もSF初心者にとってはとても興味深く、「宇宙空間だけど重力があるミッション」を利用して「宇宙機の中で電気ポットで沸かしたお茶を飲む」というアイデアに脱帽。
高速で飛んでくる衛星をキャッチするためのテザー&キャッチャーは、まあ、SFな人なら出してきそうだけど、回転運動→重力→お茶会!は、野尻さんにしか書けないと思った。
あと、カイトを使っての大気圏進入ネタも。
これも「言われてみればそのとおり」という話だけど、我々の宇宙観的には「ありえない」。それこそSF初心者の私にとっては衝撃的な大気圏突入方法でしたよ。
もちろんSFらしく、どの話もポイントになる「うそ」が混じってるんだけどね。でも宇宙開発はSFから始まった、ということを実感するような一冊でした。
ちなみにもうひとつの短編はわりとどうでもよかったのでパス(もちろん読んだけどね)