2009/03/11(水)箱根湯元・東京電力山崎発電所・早川取水関堰(らしい)
今回宿は箱根湯本に取りました。駅から川に並行して走る国道一号線を上流に向かって歩いてゆくと、土木遺産旭橋というのがあり、この先に目指す宿があります。
しかしさすがは国道一号線、横断歩道がありません。
うっかり道の反対側を歩いていたら道路を横断できず、目の前に見えている宿にたどり着けません。仕方がなく、道路を横断できるところを探してそのまま道沿いに行過ぎてみたところ、突然目の前に妙な施設が現れました。
あれ、こんなところにラバーダムが。
ラバーダム、初めて実物を見ました。なかなか珍しいと思います。
相方を放置して観察してみると、ダムの反対側に水路があり、50mほど下流で勢いよく本流に水を戻しています。
水利権の表示もあるので東京電力の発電設備で間違いないでしょう。
しかし帰宅してから調べてみたのですが、なかなかこのダムの情報が見つかりません。一級水系のダムなら水力ドットコムさんあたりで網羅されているのですが、「二級河川早川水系早川」ということで、かなりマイナーなダムっぽいですね...
「早川 ダム」で検索してみてもほかの早川のダムの話が引っかかります。
東京電力の水力発電所一覧(神奈川県)を見ると、早川にある発電設備は「川久保」「塔之沢」「山崎」各発電所らしいのですが、現地にはそれっぽい表示はありません。
結局しらみつぶしに検索してみてようやくそれらしいものが見つかりました。
山口文象という建築家の研究をされている方のページらしいですが、●山口文象のモダニズム建築作品新発見かというページに山崎発電所(jpg)としてどこかの資料を引用されています。
私が掲載した写真と方向が異なるのでわかりにくいですが、4枚目のカラー写真を見るとほぼ間違いないように思われます。
しかし「発電所本体」と示されている建物なんて見なかったなぁ。件のページの本文を見ると「では早川を上流に約2kmさかのぼって、山崎発電所の発電用の水を採る取水堰を見よう。」とあるので、発電所はもっと下流にあるようす。ということは、あそこで放水していたのは余水ということか。
ちなみに。この資料を見て気づいたのですが、これは「ダム」じゃなくて「堰」だったんですね、堤高15メートル以下はダムじゃなくて堰らしいので、たしかにこの高さならそうなのでしょう。さて、山崎発電所ですが、相変わらずネタがありません。この社会科見学流行のご時世なのに、見学レポート一つ見つからないとはよほどのマイナー発電所なのか?
wikipediaによると荻窪用水とも関係があるらしいですが、wikipediaには「取水口の堰もローリングダムに変わり、」と書いてあって現状のラバーダム(ラバーゲート)と話が一致しません。
もう一度さっきの山口文象研究のページに戻ってみると「当初はローリングゲート式の可動堰であったのが、今はゴムゲート式になっているから」とも書いてあるので、途中で改修されたのにwikipediaの記述が追いついていないだけ、ということかもしれません。
google mapsで目をしょぼしょぼさせながら探してみると、入生田駅周囲で発電所は見つかりました。東京電力山崎発電所と地図上に表記があります。
高低差を考えると道路向かいにある直線的な構造物が水圧管路なのでしょう。google mapsのモードを地図モードに切り替えるとよくわかりますが、サージタンクとおぼしき構造物に西方向(箱根湯本方面)から取り付け道路のような物があります。
もしかしてこれが導水路?と思いましたが、水路にしてはぐねぐね曲がりすぎです...まあ、一応上流方向に向けて追いかけていって見るのですが、途中で中学校に突き当たったあげくに、箱根湯本の下流付近で別の取水口らしき構造物に突き当たってしまいました。
なんなんでしょう、これ。同じところを航空写真モードで見ると、木が生い茂っていてどんな設備なのかよくわかりません。
いずれにせよ、構造物の位置関係では件の堰から山崎発電所に水を引っ張っているというのは何となく無理がありそうです。
まとめてみると、
・最初に見つけたラバーダム(堰)は発電設備の一部らしい
・その下流に山崎発電所という発電所がある
ここまでは確実。
ですが、本当にこの両者が一体なのか、という点に確信が持てないでいます。
例の山口文象研究のページでは一体の物として書かれており、写真を見る限り確かに雰囲気は似ているような気がするのですが、今のところこれ一つしか資料がありません。
実際のところどうなんでしょう?