2011/05/09(月)クラウドインフラの証券化とその人生
今後はクラウドインフラが証券化されて市場で流通するのではないかという妄想。いまでも企業への投資という形で間接的にはそうなっていると言えなくもないけど、今後はもっと直接的に「このクラウドに投資する」「このクラウドは利回り○%を期待できる」みたいな会話が交わされるようになるんじゃないかなーと。
その背景として考えたのは、やっぱクラウド関連インフラへの調達はそれなりに額が大きくてリスクが高いと言うこと。そして、大規模化する方が諸々有利と。いまは既存のプレーヤーが自分の体力の範囲内で投資を行っていますが、そのうち大規模化が体力を越えるというケースが出てくるでしょう。そもそも、クラウドってのは「不所有」による資産リスクの低減ってのが売りなわけですが、クラウド事業者にとってはそのリスクを集中的に被っているようなものなので、証券化でもしてリスクの分散を図らないとやってられなくなるわけです。
クラウド関係の技術は新ネタが出てくるのも早いし、一つの事業者が運用する複数のクラウドインフラでそれぞれ方向性が異なる事だって十分にあり得るわけです。たとえば、金融系対象のクラウドは一度売れてしまえば安定して利用されるが収益率は低い、Web系は高利回りだが顧客の落ち着きがないので売り上げ急減のリスク有り、とか。そんなことを考えると、市場で売買されててもおかしくないよね?
クラウド事業者にとっては、クラウドインフラって立ち上げるだけでなくて、そのクローズまでを見通す必要も出てくるんだよね。今はどこも立ち上げ期なのであんまり考えてないかもしれないけど、クラウドインフラの一生というのは考えてみてもいいと思う。
1. 立ち上げ期
初期のインフラ投資とスタートアップ顧客の獲得。
新しい技術・新しい課金体系・新しい切り口などで切り込んでゆく。
多少ディスカウントしてでも目立つ顧客を囲い込んで、ケーススタディにしたりとか。
利益よりもパイの拡大が先行する季節。
2. 拡大期
一定規模、且つ、成長株のの顧客が数件見え始める。新規の顧客も続々。
インフラ自体も拡大傾向で、投資額が右肩上がりになるが、売り上げの拡大がそれを上回る。
多少いびつな局面が見え始めても、勢いで伸ばしてゆける感じ。
3. 安定期
新規の顧客の流入が鈍り、既存の中堅・大規模顧客の売り上げがクラウド全体の売り上げを支配する印象が強くなる。
インフラ投資は既存顧客の拡大分+α程度。インフラ投資が抑えられる分、利益率は向上の気配があり。
ダイナミックさはなくなっても利益的においしいので事業的にはOK。
4. 縮小期
大規模顧客が数件抜け始める、ちょっと旬が過ぎた感じが世間的にも漂う。
コンペティタのより良い・安いサービスに追い上げられる。
インフラの拡大は停止。ありもので運用を回しつつ、効率化でぎりぎり利益を確保する局面。
5. EXIT
主要な顧客は他社or自社の後継サービスに移行済み。どうしても抜けられない顧客だけが残る最終局面。
運用もぎりぎりのところまで縮退し、隙あらばサービス廃止に持ち込みたい気持ち。
場合によっては残った顧客とインフラごと別の会社に売り払ってEXIT完了。
なんてね。
あくまで妄想ベースなので、何か事例があるとかそういうわけじゃないです。なんというか、惑星の一生みたいな感じで考えてました。
クラウド事業者は今後、こんな感じでインフラを改廃しながら事業を続けていくことになるんじゃないかと。
で、さらっと書きましたが、縮小期を過ぎて「おいしい」ところのなくなったクラウドインフラってのは、顧客ごと転売されるってケースもありそうだよねとか思ってます。そういうレガシーインフラを顧客ごといくつも買い集める会社も出てくるんじゃないかな。集めた顧客に投資して、次世代のインフラに集約・移行させてまた売りに出す、再生会社みたいなイメージ。
どんなもんでしょうね?