2007/09/28(金)Dan氏が間違っている三つの箇所 - その1

ニコニ考 - 給料より安い制作費への反論

すげー長くなったので分割。もしかしたら途中でやる気なくなって続かないかも。

※追記: 続きは以下のところ
Dan氏が間違っている三つの箇所 - その2


■アニメ制作のビジネスモデルの違い
これは本筋ではないのだが、結構な誤解なので指摘しておきたい。
Dan氏はたけくま氏が発見した資料を持って現在の深夜アニメの状況を語ろうとしている。しかし、これは大きな誤解があると思われる。

確かに経産省の資料は公式文書だが、これはあくまで「例」でしかない。
特に深夜アニメはこの資料と大きく異なる形態で制作されていることが多い。
たとえば、最近の深夜アニメは大抵「○○制作委員会」という団体がクレジットされているが、経産省の資料にはそれに該当するものが見当たらない。このあたりで違和感を感じてもらえると思う。

これは、アニメの制作のビジネスモデルが「ハウス食品名作劇場」のような「企業広告型」、それから最近の深夜アニメに代表される「単独回収型」で相当異なっているからだ。

まず、「企業広告型だが」、これは主に広告代理店・TV局が主導で制作されることが多い。
この場合の資金の流れが例の経産省の資料に書かれているものだろう。
これはアニメ業界と関係の無いスポンサー企業が自社のイメージ向上のために制作しているものである。スポンサー企業としては金銭的なリターンは求めていない。広告効果が得られればそれで良いのだ。
なので「版権ビジネス」はおまけでしかない。DVDの販売も同様。


一方現在の深夜アニメの主流である「単独回収型」は、アニメ制作それ自身で回収を目論んでおり、「版権ビジネス」が主たるものになっている。
この「単独回収型」の場合どのような流れになるのかを図にしてみた。
anime.gif

ここではわかりやすくするために各々の「立場」をばらばらにして書いているが、実際にはひとつの会社が複数の立場を兼任している。たとえばある会社が制作委員会に出資しながらDVDの販売をしたりするのも当たり前だし、有力なアニメスタジオが制作委員会に出資していたりするのも良く見かける。
このモデルの特徴は、資金がスポンサーから一方的に流れ込んでくるのではなく、関連する各社が金銭的リターンを求めながら資金を「投資」していることにある。
では金銭的リターンを得るためにはどのような手段が取れるか。当然現金収入が必要なので、DVDなり関連グッズなりを販売する「版権ビジネス」が主要な目的になってくる。
(DVDは最も単価の高い「グッズ」であるので、自然ビジネスの中心となる)

このように、経産省の資料に書かれたモデルと、深夜アニメのモデルはまったく異なる。

※この手の話は「小麦ちゃんマジカルて」のDVD特典で紹介されていたはず。


続くかもしれないし、続かないかも。