Maker Faire Tokyo 2013出典説明 (太陽電池駆動クラウド型サイネージ) #mft2013

MFT2013展示物
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今日、明日と開催しているMaker Faire Tokyo 2013(#mft2013)。以下のような内容で出展したところ、予想外に多くの方に興味を持っていただくことが出来ました。「詳しいことはWebに書いてあるの?」という質問をいただいたので、初日が終わって帰宅して慌てて書きました。(また泥縄)

@donz80 and bros.

太陽電池駆動クラウド型サイネージ

電源がなくても駆動できる!デジタルサイネージ端末を展示します。Raspberry Piと低消費電力な液晶モニタで構成されたサイネージ端末を太陽電池で駆動します。携帯電話網でインターネットと接続し、緊急地震速報やニュースなど最新の情報の更新にも対応。災害時、避難所などに「置いてくるだけ」で稼働し続けるサイネージシステムをDYIで作ることを目指します。

出展者情報より

MFT2013展示物

太陽電池駆動クラウド型サイネージ


デジタルサイネージとは?

今回の私の展示物の説明をする前に、まずは一般的な「デジタルサイネージ」について説明します。デジタルサイネージは「電子看板」と呼ばれることもあります。紙やフィルムなどでできた看板(ポスター)の代わりに、液晶ディスプレイなどの電子機器を使って表示するタイプの看板一般を指す用語として使われています。

液晶ディスプレイなどを使っているため、紙のポスターと違って複数のデザインを入れ替えながら表示したり、動きのある映像を流すこともできます。駅などに設置される大型のものもありますが、店舗内でまさにポスターの代わりに使われるような小型のものもあり、最近割とあちこちで見かけるようになりました。(小型デジタルサイネージの例1)

今回出展したサイネージシステムの特徴

今回出展したサイネージシステムでは「太陽電池で動作する(100V電源不要)」「簡単に持ち運びできる」「携帯電話網を使って遠隔地から管理できる」という三つの特徴があります。

太陽電池で動作する

今回のシステム一式、表示用の液晶ディスプレイと、制御部分のマイコンを含めて、太陽電池の電力で駆動されています。充電式バッテリーも備えられており、夜間は昼に充電した電気で動作します。100Vの電源がないところでも、太陽電池を空に向ける場所があれば大丈夫です。

大規模な太陽電池サイネージ

大規模な太陽電池サイネージ

太陽電池で動作するデジタルサイネージシステムはすでにいくつも存在します。が、私が観たことがあるものはいずれも大型のもので、たとえば写真の例2では畳数畳分の太陽電池を設置しています。他にも類似のものもみましたが、いずれも同じ程度の規模で、設置工事が必要で、価格もそれなりにするようでした。今回展示したような小型のものとは、ちょっと違うカテゴリのものだと考えています。

簡単に持ち運びできる

会場では展示のために一部分解していましたが、ちゃんと組み付けると制御部とバッテリーは一つの小型のコンテナに収まります。そして、このコンテナと、液晶ディスプレイと太陽電池パネルは、一人で十分に持ち運ぶことができます。

前述の通り100Vの電源も不要ですので、屋外や電気が来ていないところに持って行っても大丈夫です。

遠隔地からの管理

今回のシステムにはモバイルデータ通信のためのモデムが組み込まれています。これを使って、インターネットを経由して、管理用のサーバと通信を行っています。(このあたりが「クラウド型」)通信を行うことで、次の二つの機能を実現しています。

コンテンツの入れ替え

サイネージシステム(電子看板)ですので、液晶ディスプレイには何か告知したいもの(コンテンツ)を表示しなければなりません。このシステムではその表示したいデータを、インターネット経由で送り込むことができます。コンテンツの更新の為にいちいちサイネージが設置されている現地にゆく必要はありません。

このような仕組み自体はすでに実用化されています。が、実は世の中に設置されているサイネージのシェアでみると、案外普及していないようです。サイネージシステムのなかにSDカードやUSBメモリが取り付けられていて、コンテンツを入れ替えるときは現地に行ってそれを差し替える、なんてものが多数を占めているのが現状のようです。

システムの動作状況の監視・設置場所の追跡

インターネット接続を利用して、システムが正常に動作しているかをサーバに常時通知しています。今回の出展物では、太陽電池の発電電力や、バッテリーの充放電の状況をサーバに通知して、管理しています。

また、携帯電話網の機能を利用して、サイネージシステムが設置された場所を特定し、これもサーバに通知しています。前述のとおり、気軽に持ち運ぶことを想定しているため、どこにシステムが設置されるかわかりません。設置場所を自動的にサーバに通知することで、今の設置場所を追跡することができるようになっています。

これらの情報は、インターネットにつながった管理端末で確認することが出来ます。スマートフォンやタブレットでも大丈夫です。

想定する利用方法

このサイネージシステムは、ある利用方法を想定して制作されています。想定しているのは、災害発生時に、被災地(避難所など)に情報を伝える仕組みとして利用できないか、ということです。

災害時に使うものですので、ディスプレイには、たとえば行政からのお知らせ(水や食料の情報など)や気象情報などを表示することをイメージしています。こういった情報は時々刻々と更新されるため、インターネット経由で遠隔地から表示内容を入れ替えることができると、便利です。

また、サイネージシステムはあらかじめあちこちに置いておくのではなく、災害発生後に、倉庫などに保管しておいたこのシステムを人力や簡易な交通手段で運搬・展開するという想定です。災害時には各地に避難所などが作られますが、必ずしも当初計画したとおりの場所に開設される訳ではないようです。また、災害対応の進行とともに避難所の統廃合が行われるという話も聞きました。そういうケースに、このような小型で持ち運びしやすいシステムは適しているのではないでしょうか。また、実際の運用現場は大変混乱していることが想定されます。臨機応変にシステムを設置すると、あとでどこに設置したかわからなくなると言うことが想定できますが、自動的に設置場所が通知されるため、現在地を追跡することも可能です。

実用化できるかどうか?

今回展示しているサイネージシステムは、あくまで「コンセプトモデル」であって、一応動作はしていますが実用品ではありません。実用化するためには、システムとして確実に動作させるために考慮すべき点がいくつもあります。量産するならなおさらのことです。

「こんなことが出来たらいいね」「出来るはずだね」ということはしばしば話題に上るのですが、具体的なイメージを膨らますのはなかなか難しいのが現実です。そこで、今回はとりあえず動くものを作ってみよう、ということで取り組みました。(いろいろおかしなところはありますが)実際に動いているものをみて、あれこれ議論が深められると良いだろうと考えています。

Q&A

Maker Faire Tokyo 2013で展示したところ、思いの外多くの皆さんにご注目いただき、様々な質問をいただきました。とりあえず一日目にいただいた質問について、覚えている範囲でまとめておきます。(同じ質問をいただくことがかなり多かったので)

会社として作っているの?何かの組織で作っているの?
いいえ、個人の趣味として、思いつきと勢いでやっています。また、なにかの団体の活動としてではなく、基本的に一人で作っています。(MFT2013のデモで使用した地震速報の配信には会社の協力を得ています。また、地震速報の表示部分の開発は別の方です)
国とか自治体の補助金を使っているの?
今のところ完全に個人の財布です。
実用化・量産の目処は?
今後の予定は全く何もありません。
本当に太陽電池で動いているの?
はい、動きます。ただし。MFT2013の会場は屋内のため太陽電池では発電できず、バッテリーからの電力供給で動作しています。
消費電力は?太陽電池の発電能力は?
消費電力は、液晶ディスプレイ・制御部(Raspberry Piや通信用モデム)すべて込みで、実測8W~9W程度です。展示に使った太陽電池パネルはカタログスペック上20Wの能力があります。ただし、スペックいっぱいの電力を発電できるのは限られた条件でしかないので、実際の発電能力はもっと低くなります。実用の際にはもう一回り大きなパネルを利用した方が良いだろうと思っています。
消費電力削減のためになにか特別なもの使ってる?
現状特に何もしていません。液晶ディスプレイはOn-Lap 1302です。消費電力を減らすためには「リアルタイム通信を諦めて、1時間毎の更新にする」「RasPiをTypeAにする」「液晶ではなく電子ペーパーを使う」あたりが考えられます。電子ペーパーが劇的だと思うのですが、個人では大きなサイズのものが手に入りません。
バッテリーはどのぐらい持つの?
12V12Aのバッテリーを使っているため、満充電であれば計算上は16時間~18時間持ちます。昼間の間に十分に充電できる日照があることが条件です。実際にはもっと短いと思いますが、十分に実験が出来ていないので今後試してみたいと思っています。
雨や曇りの日が続くとどうなるの?
バッテリーが切れてシステムが停止します。今はその仕組みはありませんが、バッテリーの電圧低下時に自動シャットダウンしたり、電力が戻ったときに自動再起動したりするように作り込めばいいんじゃないかと考えています。
電力以外は管理していないの?
今はとりあえず電力だけです。各種センサーを取り付けて、今と同じ方法で情報を収集することは可能です。明るさ、気温、湿度などを考えていました。MFT2013の会場では、空間線量計、二酸化炭素濃度などのセンサーをつけると良いのではないか、というアイデアをもらいました。
サイネージの画面にはどんなものが表示できるの?
わりとなんでも。実は表示部分はWebブラウザなので、ブラウザで表示できるコンテンツは表示可能です。
太陽電池はいいけど、携帯の電波がなければつながらないよね?
はい、その通りです。携帯が復旧したところから展開していくことになるでしょうね。ただ、最近の状況を見ていると、携帯電話はインフラのなかでも復旧が早いほうだと感じています。電気が来ないところでも携帯の電波だけ来る、ということはあり得ます。
設置場所の情報はGPSで調べてるの?
いいえ、いまは携帯電話の基地局情報を使っています。GPSもつなげることは出来るので、併用すればより精度が高くなると思います。
どんなもので作っているの?(ハードウェア)
メインの処理はRaspberry Piです。画面表示、通信、センサーからのデータ取得をRaspiで全部やってます。センサーはRaspiに直結しておりマイコンは使っていません。太陽電池とバッテリーの充電制御は専用のユニット(チャージコントローラー)を使っています。
どんなもので作っているの?(ソフトウェア)
サイネージ端末側は、C言語とPerlです。表示部分はHTMLとJavaScript。サーバ側は今のところPHPとrrdtoolです。
制作費は?
最終的に使った部品だけだと3.5万円ぐらいじゃないかと思います。使わなかった部品は数知れず。高額なものは、液晶ディスプレイ1万円、太陽電池パネル+チャージコントローラ+バッテリー1.2万円。RasPi 4000円とか。全部秋葉原で買えます。
制作期間は?
仕事の合間に間欠的にやっているのでよくわかりませんが、たぶん全部で4週間ぐらい。
  1. たまたま見つけた雰囲気のよい事例です []
  2. 2011年6月に開催された展示会(DSJ2011)に出展されていたもの。メーカー情報:ソーラーサイネージ []