米国Maker Faire事業停止の報、日本のMaker Faireは予定通り開催
この前の土曜日(6/7)にこんなニュースが飛び込んできた。
- Maker Faire halts operations and lays off all staff (TechCrunch)
要約: (米国の)Maker Faireを主催しているMaker Madia社が事業を停止し、スタッフ全員(22名)をレイオフした。
また、米国で開催されているMaker Faire Bay Area(MFBA)について以下のような記事が出ている。
- メイカーフェアベイエリア、おそらく今年が最後に (ニコ技深圳コミュニティ Nico-Tech Shenzhen)
要約: 資金難(スポンサー不足)により、Maker Faire Bay Areaの開催が今年限りになる可能性が高い。
米国のと、書いたとおり、これはアメリカのMaker FaireとMAKE Magazineを主催しているMaker Media, Inc.についてのニュースだ。
今日(6/10)になって、日本のMaker Faireを主催するオライリー・ジャパン社より「日本のMaker Faireは予定通り開催」というコメントが発表されている。
Maker Media社の現状とMaker Faire Tokyo 2019について
|Maker Media社の資金難による活動停止に関する米国の報道を受けて、Maker Faire Tokyo開催への心配の声もあるようですが、Maker Faire Tokyo 2019は予定通り開催されます! 詳しいことはリンク先記事をご覧ください。https://t.co/5N2xvysk0V— Make: Japan (@make_jp) 2019年6月10日
- Maker Media社の現状とMaker Faire Tokyo 2019について (Make: Japan)
ということで、この夏のMaker Faire Tokyo 2019 (MFT2019)は予定通り開催される見込みだ。ただ、気になるニュースではあるので、アメリカのMaker Faireと日本のMake Faireの関係について知っていることをまとめてみようと思う。
なお、筆者はMaker Faireの運営に関わっている訳ではなく、外部の人間である。Maker Faire Tokyo(Make Tokyo Meeting)には多摩美の時、東工大の時、日本未来科学館の時に出展者として参加しているが、毎回参加するような熱心な参加者ではない。また、所属会社がMFTのスポンサーとして参加するため若干の利害関係はあることを記しておく。(なお、この記事には非公開の情報は含まれていない、また、正確性についても保証しない)
日米Maker Faireの関係
世界中で開催されているDIYのイベントMaker Faireと、その母体となっているMAKE Magazineは、元々2005年にO’Reilly Media, Inc.のビジネスとして始められた。その後、2013年にO’Reilly社はMAKE関連事業をMaker Media, Inc.としてスピンアウトさせている。
- なぜ、我々はMaker Mediaを分社化したのか — Tim O’Reilly (Make: Japan – 翻訳)
以降、アメリカでのMaker FaireおよびMAKE Magazine関連事業は、Maker Media, Inc.によって運営されている。
一方、日本ではO’Reilly Media, Inc.の100%子会社として株式会社オライリー・ジャパンが存在している。オライリージャパンはO’Reilly Media, Inc.の子会社として2006年からMAKE Magazineの日本語版を発行し、2008年よりMake Tokyo Meeting (MTM)を開催している。Make Tokyo Meetingはその後Maker Faire Tokyoとして規模を拡大して開催が継続され、Ogaki Mini Maker Faire(大垣)やMaker Faire Kyoto(京都)などの周辺イベントも開催されるようになった。
米国でのMaker Media, Inc.の分社化後は、株式会社オライリー・ジャパンがMaker Media, Inc.からライセンスを受けるという形で開催されており、Maker Media, Inc.は運営に関わっていない。このことはMFT2019のWebにも書かれている。
- Maker Faire Tokyo 2019 (Make: Japan)
Copyright © 2019 O’Reilly Japan, Inc All Rights Reserved.
Maker Faire Tokyo is independently organized and operated under license from Maker Media, Inc.
つまり、現状以下のような状態となっている。
- 米国のMaker Faireと日本のMaker Faireは別法人が運営している
- 日本のMaker Faireは米国のMaker Media社からライセンスを受けて運営している
- 米国のMaker Media社は事業を停止したが、各国のMaker Faireに許可したライセンスには影響しない
- 日本のMaker Faireのスポンサーは日本のオライリー・ジャパン社が集めている
このような事情なので、Maker Faire Tokyo 2019の開催には支障が無いということだ。
もちろん、世界のMakerムーヴメントに対して大きな影響力を持ってきたMaker Faire Bay Areaと、Maker Media, Inc.が躓いたことは、印象論として多少の影響はあるだろう。ただ、MakerムーヴメントはおのおののMaker自身の内から沸き起こるものであり、一企業の資金ショートによって途絶えるものではないと思っている。日本のMaker Faireはオライリー・ジャパン社によってスポンサー確保の努力が続けられており、今後も開催されるだろう。Maker Media, Inc.もスポンサーを見つけて再出発が図られることを期待したい。