5月5日、ビックサイトのホール内でWi-Fiが使えた
少々タイミングを外しましたが、今年の5月5日のこと。同僚がTRCで頑張っている中、私はビックサイトにおりました。ビックサイトではコミティアが開催されており、ホール内それなりの参加者がいた訳ですが、ふと気づくとスマホがそれなりに快適に使えています。しかも、Wi-Fiで。私はdocomoのスマホを使っていて、普段からWi-Fiをonにしているので、自動的にdocomo Wi-Fiの電波を掴んでいたようです。
ビックサイトは各社が無線LANサービスを提供していますが、あくまでホール外の一部エリアのみ(記事執筆時点)でのサービス提供で、ホール内ではサービスしていなかったはずです。(docomo Wi-Fiエリア検索)
冬コミの時は各社(特にdocomo)が躍起になってWi-Fiを提供していたのを一つ前の記事でも書きましたが、このときもホール内は人間に基地局を持たせて巡回するという、まさにお茶にごし的な対応で、常設の基地局はありませんでした。
ところが、5月5日はホール内でまともにdocomo Wi-Fiが使えています。慌てててAndroidのWifi Analyzerを起動してみると、こんな事になっていました。
2.4GHzを捨てた、5GHz onlyのdocomo Wi-Fi
5GHz帯で”0000docomo”, “0001docomo”のSSIDが見えます。いつの間にかホール内に基地局を設置したようです。ぐるっと見渡してもそれっぽいものは見えなかったのですが、天井に設置したか、壁面に設置したのでしょう。私がいた場所からは16AP程度が観測されました。1
それだけでもびっくりなのですが、2.4GHz帯ではdocomo Wi-Fiの基地局が見えません。上記の画像ではわかりにくいですが、SSIDの一覧を見ると、2.4GHz帯はモバイルルータしか見当たりませんでした。2つまり、docomo Wi-Fiとしては2.4GHzを捨ててきているのです。いままで2.4GHz/5GHz両方でサービスをしているスポットはいくつもありましたが、5GHzのみでサービスというのは初めて見ました。
参考までにSpeedtestの結果も乗せておきますが、20Mbpsとちょっとびっくりする速度が出ています。3
屋内ではいっそ2.4GHzをサービスしない方が体感が良い?
無線LANの2.4GHz帯が混雑しているのはよく知られています。事業者がむやみやたらに基地局を起きまくったり、個人持ちのモバイルWi-Fiルータが電波を出しまくるので電波の干渉4が激しく、特に混雑しているところではまともに通信ができなくなっています。このような場所では、たとえ基地局が強い電波を出したとしても意味がありません。一方、5GHz帯は今のところそこまでの混雑はありません。
ここでもし、docomo Wi-Fiが2.4GHzと5GHzの両方でサービスをしたとすると、うっかり2.4GHzの電波を掴んでしまった端末は、ひどい電波環境でまともに通信できなくなる恐れがあります。だったら、ということなのか、ここでdocomoは環境の悪い2.4GHz帯のサービスを捨てるという作戦に出たようです。これなら端末が質の悪い電波を掴むことはなく、環境の良い周波数の電波を掴むことができます。
確かに最近のdocomoのスマホは5GHz帯への対応を進めていましたので、自社スマホ向けのサービスとしては理にかなっているのですが……それでも、対応機種の多い2.4GHzを捨ててくるとは、アグレッシブです。
今のところdocomoのサイトを見ても、この取り組みについては特に公開されていないのでまだ何かの実験中かもしれません。が、冬コミからこっち、粛々と仕込みを入れてきたところに本気を感じます。この調子だと「夏コミはホール内でもdocomo Wi-Fiが使えます!」と大々的に打ち出してくるかもしれません。
なお、公衆Wi-Fiサービスで5GHzに逃げるというのは、当面の回避策としては有効です。しかし、いずれ各事業者がぽこぽこ基地局を置きまくって5GHzも混雑して使えなくなる恐れがあります。基地局を置くなとは言いませんが、せめて基地局間の距離の調整と、電波強度の調整ぐらいはやって欲しいものです。